将来なりたいものは?
そういえば小さいころ「将来の夢」を選ぶようにと小さな本のようなものを渡されたことがある。
保育園の頃の話だから、成長記録としてのものだと思う。
そこに職業が並んでいるんだけど、男の子と女の子の職業に分かれていた。
私は女の子なので、女の子の職業とされるところから選ばなければならなかったけど、私のなりたい職業は男の子の職業とされるパイロットになりたかった。
私は素直に「パイロットになりたい」と答えたが、先生は「それは男の子の選ぶものだからダメだ」と返ってきた。
女の子の職業に私がなりたいものはなく、仕方がないので先生が進める保母さんとそこに書いた気がする。
ここで一番すごいのはその将来の夢に職業と一緒に「お嫁さん」があることだ。
ちなみに男の子の欄には「お婿さん」は当然ない。
ウエディングドレスの挿絵にひかれてそう答える子は結構いた気がする。
私の時代には「お嫁さん」は永久就職と言われる、いわゆる職業だったのだなとふと思った。
以外にこういう違和感は昔からあった気がする。
女の私でもできる仕事なのに、なんで男と女で差が生まれるんだろうと思っていたし。
逆に女だからそこまでする必要がないのかと、できるけどしなかったりもした。
そうやって男と女の求められる仕事にそって仕事を探していたけど、男女雇用機会均等法というものが前面に出てきた。
これが強く言われるようになってから職を探すのが一気に難しくなった。
地方では特に。
前は男性募集とか女性募集と書かれていたから、女性募集を選べば一覧がでてきたが、この法律が前面にでてきてからその検索ができなくなった。
なので、もちろん選択の業種は増えた。
だが、就職の相談の段階で、「ここは男性を募集してて」「これは男性の業種で」と言われることがかなりあった。なので面接まで行くことはほぼない。書類審査で落とされるからだ。
男性の仕事だから給料がすごく良いのだ。
でも実際は女性が応募すると「女性にはきついからできないよ」と言われるのだ。
最近はなくなってきたようだが、古い体質の会社はまだまだある。
そういう会社はえてして考えも古い人が大勢いるので、私のようなものが入ってくると必ず聞くのだ。
「独身なの? 結婚は? 親は何も言わないの?」
だいたいこれがセットである。
これが年を食った最近では「結婚してるの? 独身なの? 親は何も言わないの?」に変わってきた。
だいたい30代半ばくらいから最初に「結婚は?」と聞かれるようになったな。
ちなみに最新は「お子さんはいくつ?」である。結婚の段階をすっとばして、子供がいる当然いるという設定で話される。
結婚してても子供がいない人だっているのに、この人何言っているんだろうと思ったものだ。
この失礼なあいさつは地方では当たり前にある。
いや、年配の女性はだいたい聞いてくるから、その年代の価値観なのかもしれない。
聞いてこない人はそういう時代の流れを読んでる人か、自分の子供も同じ境遇かだ。つまり彼女も彼氏もいなくて結婚していないということ。
今はどうなんだろう?
将来なりたいものに「お嫁さん」は含まれているのだろうか?