自分の恋愛に関するものを振り返る

そもそも恋愛の経験がないので、自分ができるのかどうかがわからない。

 

私は思春期に不登校で同世代とのコミュニケーションがなかった。

加えて、男兄弟に挟まれていたので、その当時の恋愛に関する情報元は兄が借りてくる少年誌や少年漫画からであった。

思春期前に少女漫画を読む機会はあまりなかった。雑誌や漫画を借りて読むこともなんとなくしてはいけないような気がしていたからだ。

親が漫画というものに否定的だったこともある。

思春期に入ってから、やっと友達経由で男女のあれこれを知ることになる。

この頃に少女漫画を読むようになって、恋愛ものを読むようにはなった。

しかし、私が不登校になったのも、この男女のあれこれに嫌になったからだ。

 

小学の高学年には周りに「あの子が好きだ」とか「あの子が誰それを好きだ」という話が出始めてくる。思春期に突入する時期で、当然のことなのだろう。

私はあまり、そういうことを思わなかった。

あの子がカッコいい。というのはわかるけど、だからといって恥ずかしくて隣にいられないという感情がわからなかった。

小学の入学からずっと一緒にいる彼らに、ちょっと大人になったからと言って、特別な何かを感じることもなかった。

この頃に回りの恋愛事情に巻き込まれることが多くなった。

昨日まで一緒のグループで楽しくしていたのに、突然つまはじきにされた子がいて、どうしてこっちに来ないのか聞いたら、A子が好きな人B君を、C子が好きになったことが原因だという。

グループ内の力関係でC子が外に出される、いや、出ていかざるを得ない状況になったらしい。

まあ、A子がC子を嫌いになったならしょうがない。喧嘩ならともかく、ただ嫌いだという感情の間を取り持つには、小学生ではどうすることもできない。

 

そのうち、「D君が(私)ちゃんのことが好きなんだって」と、ついに私にもお鉢が回ってきた。

そのD君というのは入学以来一度も同じクラスになったことのない子で、はっきりとどんな顔なのかも知らなかった。

お昼休みに友達に教えてもらったくらいだ。

その時も、嬉しいとも恥ずかしいとも、おおよそ恋愛漫画にあるような感情は持たなかった。知らない人ということもあるし。

 

実はこの当時はそこまでも思わなかった。

アニメ映画「おもひでぽろぽろ」で小学生の頃の恋の描写がある。

あれと同じような状況だったけど、相手の子が気になるとか頬を染めるとか、ましてやふわふわした気持ちにはならなかったなと、振り返って思い出して、それはなかったと思ったのだ。

 

この時のD君の話がどうなったのか、結局私は知らないままである。

本当に私のことが好きだったのか、ただの噂だったのか、真相は誰も教えてはくれなかった。からかわれもしなかったように思う。

ただ、私がD君に興味がないとわかったことが重要だったのかもしれない。