自分の恋愛に関するものを振り返る3
社会人になって異性との付き合いは全くとっていいほどなくなった。
職場は9割女性だったからだ。当然男性もいることはいたが、働いている場所にいるわけではなく、手伝いに行くといるくらいの存在になった。
二十代前半はそんな職場と家を往復するだけで終わり、恋愛なんてするような環境ではなかった。
ただ、この頃の恋愛に関するものといえば、詐欺である。
デート商法という詐欺の電話がこの頃流行っていたらしく、固定電話に出てみるとアンケートだと言われ、わりと長々と電話に付き合わされる。話が大体終わってくると、もっと話がしてみたいから携帯の番号を教えてくれと言われる。
なんとなく悪い気もしなかったので番号を教えると、9時以降にその人から電話がかかってくるのだ。
最初は本当にただの雑談だったのだが、言葉巧みにこちらを誘ってくる。
最終的にデートの約束を取り付けて、何やら買わせるという手口なのだ。
結末を言えば私はその話に乗らなかった。
詐欺だと気がついたのではなく、普通にその相手の言うことが不快だったからだ。
きっとマニュアルが存在しているのだろうが、本当に乗せるのがうまい。最初は私の苗字にさんをつけて話ていたのに、名前にさんになり、ちゃん呼びになり、最終的には呼び捨てで呼ばれていた。その間おそらく一時間くらいの間でである。
二回目の電話で聞いてもいない身の上話をし始め、東京で頑張っていて寂しいとか、年の離れた妹がいて仲がいいとか、母子家庭で育って母親を楽にさせたいとか、そんな人だったと思う。
そして、とにかくこちらを褒める。声が可愛いとか、話し方が可愛いとか。今、この電話をするために上司に隠れて電話してるとか、とにかく特別なんだと言ってくる。
「今何してたの?」という質問に、兄とテレビを見ていたと答えたら、「お兄さんと仲いいのって変じゃない?」と言い出した。
ん??あんたも仲いいんじゃなかったの??
彼の小学生の妹と、私の兄では話が違うらしい。
その後も彼の名前を呼んでくれと言い出し、呼ぶまでしつこく読んでと言ってくる。
呼ぶと嬉しそうに「彼女みたいだね」と言われ、正直ぞっとした。
今のどこでどうなってそう思うんだ。
という、気味の悪さでその日の電話を終了させ、その後一切電話に応じなかった。
そんなことがあってから数年後にそれがどうやらデート商法という、恋愛感情を利用した詐欺であると知る。
それで、名前呼びしたり、特別だと言ったりしていたのかぁ。と納得。
二十代前半の恋愛といえば、これしかない。